You will learn most things by looking, but reading gives understanding. Reading will make you free.” ― Paul Rand
- G A L L E R Y -
2016.05.19(THU)~05.30(MON) 忘れること/思い出すこと 記憶のコインの裏側をめぐる 写真と言葉のちいさな展示 きくちゆみこ + 成重松樹展 『わたしがぜんぶ思い出してあげる/あなたがぜんぶ思い出してくれる』
・・・ 生きていると、哀しいことがある。 生きていると哀しいことを忘れる。 生きていると、たのしいことが、うれしいことが、最高のことがある。 窓越しのかわいい猫とも目が合う。 でも、それもぜんぶ忘れる。 そうしてきっといつの間にか、忘れたことすら忘れてしまって、 わたしはまた、事象だらけのこの世の中を、独りうろうろと移動する。 ただそれだけ。 ただそれだけなんだけど、あんまりにもさびしくて、 ときどき何かを思い出したくなるから、わたしは何をしようかな。 損なわれたものをあたらしく、またこの場所に呼び出すために。
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言葉と写真の展示です。 だから、おいしいものを売っているわけでもないし、 すぐさま役に立つことを提供できるわけでもないけれど、 たぶん、いや、ぜったいに、 あなたの何かを感じたり、思い出すことができる空間になると思います。 だって、この世のすべてがそうなのだから。 目に見えるものすべて、聞こえるものぜんぶ、 漂うにおいもやさしい接触も、 わたしたちに何かを与えてくれる・感じさせてくれる・思い出させてくれる、 やさしくておもしろくて時にせつない装置なのだ。 たとえば、テーブルの上にはたくさんのくだもの。 すべてがずらりと用意されている。 何を選んで、何にさわって、何を齧って味わうのかを、 わたしたちは選ぶことができる。 わたしはやさしくてあまいものがすきです。 自分にも、他の人に対しても。
成重松樹 目黒の不動前にて小さな美容室koko Mänty (kissa)を営み、写真の制作を続けている。 http://mtk-ooma.tumblr.com/ / http://kokomanty.com/
きくちゆみこ 時々翻訳、時々文筆、そして言葉を使った作品制作・展示など。 「嘘つきたちのための」文芸誌(unintended.) L I A R S 発行人。 http://yumikokikuchi.com/